バンガロールにおける視察旅行のコーディネーション、あるいは友人、知人らの来訪時に、わたしが必ずお連れする場所のひとつが、TAJ WEST END。豊かな緑に抱かれた、気品あるコロニアル建築が印象的なヘリテージ・ホテルだ。
バンガロール市街の西に位置するこのホテルには、歴史的な物語が多い。それに加えて、わたしたちが2005年11月に米国から移住した当初、住まいを見つけるまでの1カ月弱をこのホテルで過ごしたこともあり、個人的に思い入れが深い。
TAJ WEST ENDの起源は、英国統治時代の1887年、英国人女性が開いたわずか10床の「下宿」に遡る。1984年にタタ・グループ傘下のタージ・ホテルズの経営に以降してからも、改装を繰り返して現在の姿に至っている。ちなみに、オリジナルの小さな建築物は改築され、スパとして利用されている。
妹夫婦を伴い、昨日、久しぶりに訪れた。数カ月前までは大規模な改築工事が行われていたが、麗しく完成。20年前に初めて訪れたときとは、随所で様子が異なるものの、樹木は鬱蒼と瑞々しく、市街の喧騒とは別世界の、平和な楽園の如き情景は、当時のままだ。
そして久しぶりのランチブッフェ。パンデミック中の気分転換にと、過去3年間に2度ほど滞在したが、ランチブッフェは久しぶりのこと。その時代その時代でシェフが変わり料理の構成も変わってきたが、今回は最もわたしの口に合うメニューだった。妹夫婦も楽しんでいた様子。特に果物や野菜、小麦粉(パン類)の旨味、乳製品の滋味などに、感銘を受けていたようだ。
わたしはすっかりインドの食材に慣れているが、たとえばこのようなブッフェを味わうことは、インド味覚世界の片鱗を、しかしヴァラエティ豊かに一度で体験できるという意味においても有意義だ。インド高級ホテルのブッフェにおけるメニューの構成は、おおよそコンセプトが決まっている。
ノンヴェジタリアン、ヴェジタリアンの区別は大前提に、前菜類、パン、イタリアン、チャイニーズ(オリエンタル)、インド料理、スイーツ……。チャートと呼ばれるストリートフードのカウンターを備えているところも少なくなく、屋台では水の安全面などが心配なパニプリ(ゴルガッパ)なども体験できる。
これだけでも充実のメニューだが、他にもパスタやピザや注文後に用意してくれるなど、選択肢が非常に広い。ランチだけでなく、朝食のブッフェもゴージャスゆえ、日本のホテルの朝食がとてもシンプルに思えてしまう。
先ほど、「月光ライブラリ」の「旅ノート箱」から、米国在住時の2004年11月に訪れた「インド旅」の記録ノートを取り出した。あれから19年も経っていたとは。ページをひらけば、デリーやケララ、ムンバイ、そしてバンガロールを旅したときのメモが飛び出し、ついこの間のことのように記憶が蘇る。
最後のページは、ブログの記録とリンクするもの。最初にノートに書き留めて、のちにブログに記す……という段取りは、今も当時も変わらない。朝食のあと、ホテルの庭を歩いて、植物を描いたときのことを、ついこの間のことのように思い出す。ノートを覗き込んだホテルのスタッフに褒めてもらった瞬間のことも。
バンガロール。この都市との付き合いも、すっかり長くなってしまった。
🇮🇳2004年のインド旅記録から
SCENE 54: 終着ホテルは緑の楽園
http://www.museny.com/2004/india1004-54.htm









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