インド百景 2021-2025

天竺の、風に吹かれて幾星霜。ライター坂田マルハン美穂が、南インドのバンガロール(ベンガルール)から発信

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The Inner Child という名のオーガニック・カフェでランチ 。アルナーチャラ山を眺めながら、この間と同じ、マッシュルームやほうれん草のクレープを注文する。とてもおいしい。
夫は、サットサン(サンスクリット語で「真理探究の集い」の意)ヘ。わたしは一人ふらりと喧騒の街を歩く。

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足は自ずと、聖者ラマナ・マハルシのアシュラム(修行場)へ向かう。サンダルを脱いで裸足になり、中へ。前回の宿は、ここから離れたリゾートだったが、今回は歩いてすぐの場所にある。寄る辺が近いというのはいいものだ。

アシュラムの中の寺院では、折しもダルシャン(神像や聖人との目見えること)が行われていた。石造りの伽藍は祈りの白煙に包まれて異界。さまざまな神々が、漆黒の精緻な彫刻となり具現化して在る。

アシュラムの中では写真を撮ることはできない。ゆえに稀有な光景を、脳裏に焼き付ける。くっきりと焼き付ける。

中庭の巨大な井戸。アルナーチャラ山から出ずる水か。

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アシュラムの裏には、アルナーチャラ山へ通ずる道がある。扉が閉じる5時30分まで、あと30分。少しだけ、山裾を歩いてみることにする。と、少し行った先で、石細工を売る青年がいる。聞けば先祖代々、この仕事をしているという。

「僕は学問がないから、父からこの仕事を受け継いでいるんです」

そういう彼の作品に、なんともいえず、心を惹かれる。4種類の大理石を使っての置物など。アルナーチャラ山に「オウム(AUM/宇宙のはじまりの音。聖音。仏教では阿吽)」の文字が記されている。

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茶色い石は自分のために。黒い石は夫のために。彼に「オウム」を彫ってもらう。……と、目に飛び込んできたナタラージャ (Naṭarāja)。踊るシヴァ神。これまで何度か、大きめのものを買おうと思っていたのだが、ご縁がなかった。

創造に連なる破壊の神……。ヒンドゥー教の宇宙の深淵が底なしで、わたしにはよくわからない。

地・水・火・風・空……。五大元素の象徴でもあるというナタラージャ。

創造の音、神の声を鳴らす太鼓を持つ手。

破壊と創造を象徴する火を載せた手。

困難を退け祝福を示す手。

あるいは閉塞を示す手。

解放と解脱を想起させる左足。

無知と邪悪の象徴である悪魔を踏みつぶす右足。

時間とリズムの輪廻……。包摂する意味が多すぎるお姿につき。

手の上に載るほどの小さなナタラージャが、むしろ愛らしくて、買った。

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