インド百景 2021-2025

天竺の、風に吹かれて幾星霜。ライター坂田マルハン美穂が、南インドのバンガロール(ベンガルール)から発信

MUSE INDIA / HOMEPAGE

✈︎ 過去ブログ/2005〜2025

まだまだバスルームズの改築工事が終わらない中、一昨日は久しぶりに、昼間から「おめかし」をしてフォーシーズンズホテルへ赴いた。フィランソロピストのKulsumから、彼女とVogue Indiaの編集長であるRochelleが企画するプライヴェートなハイティーに招待されていたのだ。ドレスコードは、「家族の宝物:過去と未来」。

家族から受け継いだ衣類はじめ、ジュエリーや小物などを身につけてほしいとのこと。インドにおけるジュエリーの位置付けは単なる「装飾品」に留まらない。歳月を重ねても色褪せず、朽ちることのない宝飾品は、先祖から受け継がれる伝統。匠の職人技を映すものであり、自らの出自やコミュニティの歴史を物語るものだともいえる。

わたしは、自分のために購入した赤い京友禅サリーを着ることにした。家族から受け継いだ装飾品はは数少ないので、迷うことなくピックアップ。

パールのネックレスは、前回の一時帰国時に福岡から持ち帰ってきた母のものだ。ビーズ刺繍のハンドバッグもまた、半世紀ほど前の母のもの。濃紺の地色のものと2種類あるが、どちらも気に入っている。指輪はわたしが27歳で独立したとき、母から譲り受けた。拙著『街の灯』(2002年ポプラ社刊)のエッセイのひとつ「ダイヤモンド」で、この指輪のことを描いている。

バングルは、夫の母方祖母から伝わったもの。2001年7月、デリーで結婚式を挙げた際、インド家族から受け継いだ。ラホール(現在はパキスタン)出自の、百年以上に亘る一族の歴史を共にしてきた22カラットのゴールド。シンプルなデザインがとても気に入っている。わたしは身体の割に手が小さいため、手首にちょうどよく収まった。シンデレラ的である😉

腕時計は、GRAND SEIKOのHI-BEAT。わたしの父方の祖父が約50年前に購入したもので、フレームが18金の立派な腕時計だ。実家の引き出しに入っていたのを十数年前に発掘した。ベルトはそのときに、銀座三越にフランスの時計ベルト専門店、カミーユ・フォルネで新調した。久しぶりに手に取って、きれいに磨き、準備をする過程は、静かに過去を思い返す、やさしいひとときであった。

フォーシーズンズホテルの一隅、小さめの会場はとても親密な空気が漂っていた。友人たちが身につけているジュエリーがとても興味深く、そのエピソードを紐解くだけでも、何本もの記事が書けそうだ。「母が結婚式のときに……」とか、「曽祖母から受け継いだの……」といった具合に、ひとりひとりの出自、ルーツ、宗教、コミュニティ、そしてインドの歴史が息づいている。

ちなみに、ムンバイやデリーで同様のコンセプトのパーティが開かれたなら、その装飾品やファッションの豪奢さはすさまじく、目がやられてしまうこと必至。指が足りないくらいに、大ぶりのプレシャスストーン(貴石)をごろごろと身につけ、肩が凝ること間違いない重量感あふれるネックレスで胸元を飾り、艶やかさ満点の女性たちで溢れかえる。その点、バンガロールは、他都市に比べると、軽やかでシンプルな嗜好の人たち多いから、日本人のわたしでも、違和感なく溶け込める。

嗜好や志向、スタイルにも、顕著に土地柄が現れるのが多様性の国インドの面白いところでもある。

今回、声をかけてくれたKulsum(1枚目の写真)や、編集長の若き才媛、Rochelle(3枚目の写真)はじめ、友人や知人らとの写真撮影も楽しい。京友禅サリーは多くの人たちの関心を集め、その美しさを褒めていただいた。ダイナミックな牡丹。本当にお気に入りだ。

ところで、わたしがインドに移り住んだ2005年、インドの女性誌といえば1959年にThe Times Groupから創刊されたFEMINAが代表格だったが、2007年ごろから、次々に外資系の女性誌が誕生する。

わたしは2006年から10年以上、日本の広告代理店や調査会社からの仕事で、さまざまな市場調査をしてきたが、当時のコスメ市場やファッションを探るべく、片っ端から女性誌を購入して分析したこともあった。ムンバイにあるVogueの出版元であるCondé Nast Indiaのオフィスにも訪問した。ついこの間のことのように思い出されるが、確か2007年の終わりごろだったか。

昨日、書斎の大掃除中に、膨大な市場調査資料のファイルを片付けた。いずれも十数年前のものばかり。破棄すべきかとファイルを開けば、高度経済成長を遂げるインド市場の片鱗が、あちこちからこぼれ落ちる。Vogueに言及している記録もあった。捨てられない。ファイルの汚れや埃を拭き取りながら、再び書棚に戻す。

留まるページ。流れない活字。時代は移り変われども、わたしは、手書きを尊び、紙媒体を愛す。

思い出は溢れ、綴りたいことは尽きぬが……この辺で。

写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
写真の説明はありません。
Posted in

コメントを残す