


プナカのロッジをチェックアウトした後、旅の最終地点であるパロを目指す。初日に着陸した空港のある街だ。途中、首都のティンプーにあるピクニックグラウンドでランチ。
ブータンで一般的だという蕎麦に、アヴォカドやサーモンなどをトッピングしたもの。おいしい。
雨後の緑は鮮やかで、空の青さが突き抜けている。命を持っているかのような、圧倒的な雲の勢いに見惚れる。
途中、空港を見下ろせる場所で車を止めてもらう。山肌を縫うように低空飛行をする必要があり、世界で最も着陸が難しい空港のひとつとされている。スリリングながらも、空港が好きなわたしとしては、この特殊な環境の眺望を眺められるだけで、ワクワクする。
今日もまた、ガイドのTashiからブータンのことをさまざまに教わる。道徳、倫理、文化の継承、宗教行事や祭りが果たす役割など……。
ブータンでは、世界でもよく知られている通り、「国民総幸福量(GNH / Gross National Happiness)」が重視されている。これは1972年に、第4代国王によって提唱されたもので、国の政策の柱になっている。
この指標をして、海外からの賛否両論や、幸福度の低下などが取り沙汰されている記事を、これまで折に触れて目にしてきた。
わずか数日ながらも、この国に身を置いたことで、何事においても「一筋縄ではいかない」ということを実感すると同時に、この国の独特な経済成長を目指す、他国に例を見ない在り方(挑戦)に、感銘を受ける。
備忘録として、以下、在東京ブータン王国名誉総領事館のサイトより一部抜粋する。
ブータンの社会では、仏教の哲学・倫理的側面の中から、現代の社会にも適用しうる部分を抽出し、憲法や政策の中に取り込んでいる。中でも、ブータン王国憲法第九条第二項に掲げられているGNHという概念はとりわけ重要であろう。GNHの定義は様々に存在するようであるが、一例として「GNHは国家の質を(GNPよりも)総合的に量り、人間社会のより良い発展は物質的な発展と精神的な発展が隣り合ってお互いに補足し合い、強化し合うところに生まれるという信念に基づく」という表現がある。ブータンの国政はこのGNHの理念に沿って進められているのである。
◉GNHの4つの柱
・持続可能な開発の促進 (promotion of sustainable development)
・文化的価値の保存と促進(preservation and promotion of cultural values)
・自然環境の保全(conservation of the natural environment)
・善い統治の確立(establishment of good governance)
◉GNHの9つの領域
・教育 ・生活水準 ・健康 ・心理的幸福 ・コミュニティの活力 ・文化の多様性と弾力性 ・時間の使い方 ・良い統治 ・環境の多様性と弾力性
経済は、「生活水準」の領域に含まれるとされ、絶対的な要素ではないということになる。また、ここでの生活水準とはあくまで国民一人ひとりが営む生活の水準が問題となっているのであり、一握りの人間が富を独占する事態があってはならないことが前提となっている。

















コメントを残す