インド百景 2021-2025

天竺の、風に吹かれて幾星霜。ライター坂田マルハン美穂が、南インドのバンガロール(ベンガルール)から発信

福岡を離れて42年。日本を離れて29年。

遂には、わたしの「実家」がなくなった。

日本へ帰ってくるたびに、父の書斎に布団を敷いて寝た。

夫が泊まりに来た時には、その狭い床に、布団をびっしり敷き詰めた。

窮屈で、寝心地悪く、修学旅行みたいだった。

無数の記憶は前後して、渾然一体と脳裏に刻まれ、何もかもが懐かしい。

かつてのわたしは、もしも両親がいなくなったら、自分はもう福岡に帰ってくることは、ほとんどなくなるだろうと思っていた。

それがどうだろう。

還暦を前にして「人生はロールケーキ」などと言い出し、志向が故郷に回帰しはじめた。

世界各地を巡った果てに、日本の、九州の、福岡の、福岡市の、東区の魅力が、こんなにも強く胸に迫ってくることになろうとは。

ヘリコプター、小型飛行船、水上飛行機、たそがれの画像のようです

人生とは、予測不能の連続にて。おもしろいものだ。

若いころ、取り憑かれたように旅をしていて、本当によかった。

これからも、引き続き「東西南北の人」であり続ける。

家具を取り払ったら、窓が広い。

ナゲキバトの画像のようです

各部屋、玄関を含めれば、福岡市がほぼ300度、見渡せる絶景にて。

立花山の方向からのぼる朝日。

名島神社や志賀島の方向に沈む夕日。

朝な夕なに合掌した。願いを感謝に変えて、心強く進むために。

大まかな掃除を終えた滞在半ば。

家の「気」が清浄に整ったせいだろう。

毎朝のように、小鳥が遊びに来て、朗らかに囀りを聞かせてくれた。

雲、地平線、たそがれの画像のようです
雲、地平線、たそがれの画像のようです
花の画像のようです

ベランダの植物も、花をつけた。

ときどき、多々良川の河畔を歩いた。

飛来する、飛行機の美しさ! 大好きな情景を、眺めた。

遣る瀬なくて、泣けた。

たとえ、家がなくなっても、ここは紛れもなく、わたしの原点。

すべては心ひとつ。

売却をお願いする不動産会社も決まり、来月には、この家は売りに出される。

さて、次に帰って来たときには、どこに泊まろう。

すべては心ひとつ。

自由だ。

今回の日本旅は、神様からわたしへの、還暦祝いだった。

感謝。

電車、鉄道の画像のようです
雲、たそがれ、テキストの画像のようです
写真の説明はありません。
たそがれの画像のようです
テキストの画像のようです
雲、たそがれ、地平線の画像のようです
たそがれ、水域の画像のようです
石油精製所、雲の画像のようです
雲、高層ビルの画像のようです
雲、たそがれの画像のようです
たそがれ、地平線、雲の画像のようです
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