

1週間足らずのデリー滞在を経て、一昨日、バンガロールに戻ってきた。今回のデリー宅は、内装工事の甲斐あってとても過ごしやすく、ようやく「自分たちの家」という存在になった。
かつては義父ロメイシュが自身の両親のために建てた家が、ここにはあった。その家を建て替えて、4階建ての住居にしたのは、わたしと夫が出会ったばかりのころ。つまりは29年前。当時はまだ、実家の隣に、「デリー初の日本人女性」と言われた、インド人男性と結婚していたご夫人が住まわれていた。
ダディマ(父方の祖母)と彼女は数十年に亘って親友同士だった。2001年に我々がデリーで結婚式をした際には、彼女と、彼女の息子が出席してくれた。わたしと夫が出会う以前から、夫の親族は各方面で、日本との関わりがあった。
過去を振り返るにつけ、わたしと夫は出会うべくして出会ったのだと、渦巻くご縁を思う。


2007年4月にダディマが他界して、2020年1月に義父が急逝して、それからパンデミック時代を経て、ようやくこのたび、片付けや内装工事が完了した。
ダディマが残した、50年、いや100年近く使われてきた家具は、あちこちが傷んでいた。
損傷の激しいものは、家具修理の職人さんにお願いして修繕。磨き、張り替え、直し、削り、塗り替え……と、手を加えてもらった。するとどうだろう。何もかもが、見事に新品のごとく生まれ変わった。
ソリッドウッド(天然木)の家具は重くて重厚感があり、決して使い勝手がいいとは言い難いが、時を重ねてなお味わいを漂わせる「侘び寂び」がある。
さすがにカーテンはすべて取り替えたが、それ以外はほとんど「修繕」ですんだ。こういうことが手軽にできるのも、インドのよさである。あとは、ゲストルームのマットレスを新調すれば、友人らを泊めることもできる。
福岡に帰る家はなくなったが、デリーの帰る家は整った。不思議な一年。やはり還暦とは節目の年なのだと改めて思う。


今回、この落ち着いた「我が家」で、ご縁ある友人たちを招いての宴を催した。ゲストは、バンガロール時代初期に出会ったかつてのバンガローリアンたちと、昨年の「インド日本フォーラム」を契機に、お近づきとなった安部夫妻だ。すでにバンガロールで、そしてデリーでお会いしてきた。
2006年にバンガロールで出会って以来、20年近い付き合いとなる志乃さん。ミューズ・クリエイションの同志としても、数えきれないほどたくさんの時間を共有してきた。彼女は一時、シンガポールや日本を経て、再びバンガロールに戻って勤務されていたのだが、数カ月前、グルガオンへ転勤されていた。
今回、妻の貴子さんが日本に一時帰国されていてお会いできなかったのは残念だったが、ヤクルト王子が単身で来てくれた。彼らとも出会って15年以上の歳月が流れた。何度となく集っては飲み食いをしたものだ。中でも忘れられないのは新年会。インドで初めておせち料理を作り、昼間から飲んで食べて、そして歌って、楽しい午後だった。妻の貴子さんとは、ミューズ・クリエイション創設以前に「ローカルフード探検隊」を結成していて、夕子隊員含め数名で、あちこちのローカル食堂を探検したものである。
暁子さんとも気付けば10年以上のお付き合いだ。特にパンデミック時代は、バンガロールに残った数少ない日本人メンバーとして、ミューズ・クリエイションの活動に積極的に関わってもらった。長男の聖司さん(ドラム)とは「NO BORDERS」というバンドを組んで、ONE OK ROCKのコピーをスタジオで練習して「ほぼ無観客ライヴ」をやった。CINNAMONで静かなクリスマスバザールもやった。
……思い出は芋づる式に蘇る。
20年以上綴ってきたブログや、5年前からはじめたYoutubeに残した記録は、今、そして未来の宝物だ。今日はそれらを読み直し、見返すなどして、ご縁の糸を辿った。決して頻繁に連絡を取り合うでも、会ってきたわけでもない。けれど、ご縁を繋ぐために、お互いが、働きかけてきた。
この夜は、デリー宅の執事的ドライヴァー兼料理人であるTejbeelが腕を振るって御馳走を作ってくれた。彼には娘二人と息子一人がいるが、ロメイシュ・パパは学費を支援してきた。三人とも大学に進学している。
中でも長女は、ムンバイ大学で医学部に進み、バイオケミストリー(生物化学)の博士号を取得し、現在ポスドクという、非常に優秀な女性に成長されている。
パパの存命中は料理人がいたが、他界後は、Tejbeelが料理を作ってくれるようになった。すると、彼の料理が、歴代料理人の誰よりも上手でおいしいことに驚いた。驚きつつも、これまでは普通に食べていたのだが、今回「どうして料理が上手なの?」と尋ねた。
すると、特に習ったわけではないけれど、若いころから料理が好きで、楽しいのだという。なんというか、いろいろと考えさせられることの多い人生だ。
* * *
さて。夕食の後は、自ら準備したケーキで(たまたまロウソクが6本セットでついてきた)、自らの還暦を祝い、喜びと感謝をシェアさせていただいた。せっかくの還暦ファッション。
国境を超えて、いや州境を超えて、こうして気軽に会えることを、本当に嬉しく思う。ありがとう。また会いましょう!








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デカン高原の片隅で。ほぼ無観客ライヴ&Youtube動画試写会@1Q1/ October 10th 2020
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Memories of Muse Charity Tiny Bazaar 2020/ 小さなチャリティバザールの、小さな思い出@シナモン
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Wasted Nights/ ONE OK ROCK, Cover by NO BORDERS@Music House, Bangalore, INDIA
2006年のメリークリスマス。(しのさんも参加の19年前の記録)
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