インド百景 2021-2025

天竺の、風に吹かれて幾星霜。ライター坂田マルハン美穂が、南インドのバンガロール(ベンガルール)から発信

MUSE INDIA / HOMEPAGE

✈︎ 過去ブログ/2005〜2025

  • N2

    1枚目の写真は、昨日購入した果物。ジャックフルーツと、ジャムン。そしてライチー。いずれも今が旬の果物だ。
    特にジャックフルーツとジャムンは健康にとてもよいことでも知られる。

    「神々の果物」とまで言われているジャムンの味は、渋い。決しておいしいとはいえない。しかしながら、ヴィタミンA、Cを多く含み、血液をきれいにし、血糖値を下げることから糖尿病に絶大な効果を発揮し、目にもいいらしい。鉄分豊富で貧血を予防。種は結石を防ぐ。調べれば調べるほど、あれこれ出てくる。そのまま食べるのではなく、岩塩などを振りかけて食べるといいようだ。ちなみに、

    ・空腹時に食べない 
    ・食後1時間以内に牛乳を飲まない
    ・手術を控えている、もしくは直後の患者は食べるべきではない

    といった注意書きもある。ちなみにBigbasket.comのサイトで買い物をすると、その食材の特徴などが事細かに記されているので、たいへん勉強になる。この情報も、かつてこのサイトで得た。

    ジャックフルーツもまた、鉄分が豊富。抗酸化物質やヴィタミンも豊富に含まれている。目の健康にもいいらしい。こういう栄養価の高い果物が気軽に食べられるというのは、本当にありがたいことだ。

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    十数年前に萌芽し急速に成長したインドのEコマース事情。パンデミック時代には、あらゆる日用品、食料品のオンラインショッピングが確立され、都市部においては、自宅に居ながらにして不自由ない生活が営める環境が整った。

    一般的な食材だけでなく、オーガニックの新鮮な野菜や果物を農場から直送してくれるサーヴィスもある。あれこれ試したいが、食べきれない。

    生鮮食品に関しては、なるたけ店舗で見て、選んで購入したいと思ってきた。しかしすっかり定着した利便性の余韻に浸ったまま、歳月が流れた。ところが昨年より、旧居のクラブハウスの前に、週に1度、ローカルのヴェジタリアン・マーケット「Namdhari’s Fresh」が店を出すようになった。

    バンガロールに在住経験のある人ならば、耳にしたことがあるであろう店。

    2000年、スィク教徒によってバンガロールに創業されたピュア・ヴェジタリアンの食材のみを扱うグローサリーストアだ。母体は野菜や果物の種子を販売するNamdaris Seedsという会社で、欧米、東南アジア、日本にも種子を輸出している。

    わたしはバンガロール移住以来、お世話になってきたお店。今のようにオーガニックの食材が普及していなかった時代、自社農場で安全な野菜を栽培し販売しているというこの店は、大切な存在だった。穀物や乳製品、調味料、菓子類、日用消費財なども揃うので非常に便利でもある。昔ながらの老舗コンビニエンスストアであるThom’s Bakeryと並んで、よく足を運んでいた。

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    こうして再び、Namdhari’s Freshのお世話になっている昨今。旬が終わるまで、日々、好物のマンゴーを食べたい夫も同行しての買い物が習慣化している。

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  • SEIKA5

    パンデミック明けの2022年6月、久しぶりに訪れた銀座で見つけたこのお店「青花堂」。京焼・清水焼専門店とあるが、他にも日本各地の伝統工芸品が多彩に展示されている。

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    以来、一時帰国時には毎回訪れ、何かしら、自分へのお土産に購入している。中でも愛用しているのは、雷神が描かれたぐい呑み(昨年購入前に撮影)や、江戸切子の、やはりぐい呑みなど。最近はワインよりも日本酒をよく飲むようになったから、自ずと使用頻度が高まる。

    夫婦湯呑みも、1年前に買ったもの。夫の好きな紅葉と桜が描かれているので選んだ。夫に限らず、外国人にとって、紅葉と桜は日本を象徴する風物詩につき、わかりやすく好まれる。

    ミュージアムに陳列されていてもいいような、高度な職人技が息づく高価な陶磁器もあれば、日常的に使いたい手頃な食器やアクセサリー、小物類などもあり、眺めるだけでも楽しい。銀座広しといえど、このようなコンセプトのお店は、少ないのではないだろうか。

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    良質の日本土産を探している人にお勧めのお店だ。思えば毎回、銀座訪問のあと、お勧めのお店のリストを作ろうと思いつつ、そのままになっている。とりあえず、わたしの好きな店のリンクをいくつか載せておく。

    🇯🇵SEIKADO 青花堂 (2023/05/09)
    https://museindia.typepad.jp/2023/2023/05/tokyoai2.html
    https://seika-dou.com/en-us

    🇯🇵KYUKYODO 鳩居堂 (2023/10/22)
    https://museindia.typepad.jp/2023/2023/10/kyu.html
    https://www.kyukyodo-shop.co.jp/

    🇯🇵TAKUMI たくみ(民芸品)
    http://www.ginza-takumi.co.jp/
    https://www.timeout.com/tokyo/shopping/ginza-takumi

    🇯🇵ITOYA 銀座 伊東屋(文房具)
    https://www.ito-ya.co.jp/

  • S4

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    日本の記録は、まだまだ、ぼちぼち、続くのだ。前回、前々回の投稿。本の表紙写真は、今ひとつ「映えて」おらず、文章を読まれる人は少ないだろう。そもそも、毎回、Instagram文字数限度の2000文字ぎりぎりまで、投稿しがちな我が投稿。短文が主流の昨今にあっては、時代に逆行していることは理解している。

    茶道にせよ、着物にせよ、侘び寂びにせよ。わたしが昨今、日本再発見とばかりに熱を込めて書いていることのテーマを冷静に振り返るに、かつて自分が「年配の人たちの世界」だと思ってきたことばかり。人生、経験を重ねると、みな同じような方向に関心を持つものなのだろうか。

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    さて。今回の東京滞在1週間。友人知人らと会う以外の「一人食事」も、あれこれと楽しんだ。滞在先のホテル、THE GATE HOTEL TOKYO by HULICのロケーションが、ともかく便利。周辺には日比谷シャンテに東京ミッドタウン日比谷、東急プラザ……と、レストラン街を擁するコンプレックスも複数あり。

    選択肢もヴァラエティ豊かで、毎回、迷った。

    今回は、咳が出るなど体調が万全ではなかったこともあって、大事をとってアルコールを飲まず。ノンアルコールビールやモクテルを楽しんだ。飲もうと飲むまいと、楽しい気分になれるので、そこはノープロブレム。

    バンガロールの帰国の前々日、東京ステーションホテルのラウンジで笠井さんとお会いした時、おいしい青森のアップルサイダーを飲んだ。その後、森岡書店に足を運んだ。ちょうど展示会のオープニングということで、スパークリングワインを振る舞われた。果たしてそれが、今回の日本旅で初めてのアルコールだった。沁みた。

    ここではランダムに、食べたものの写真を載せている。やはり、ごはんと味噌汁がほっとする。ゆえに、釜でごはんを炊いてくれる店には2度、足を運んだ。カキフライ、おいしかったな〜。2度目も焼き魚じゃなくて、カキフライにすればよかった。

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    最後の夜は、日比谷のガード下をくぐり抜けて、界隈の飲み屋街へ。仕事帰りの人々やツーリストで賑わうあたりを散策。楽しい。あごだしを使ったおでんやさんが目に留まり、入った。そして、今回初の、本物の(!)ビールを注文。これが本当においしかった。

    おでんも、ほどよく上品な味付け。思えば「おでん専門店」に入るのは初めてだ。メニューを眺めつつ、おでんは一人でも楽しみやすい料理だと思う。選び方によっては具材もヘルシー。近所にあったら通いたいくらいだ。

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    最後の写真は、ホテルでの朝食。搾りたてのオレンジジュースに日本的な上品さが漂うエッグベネディクト。窓の向こうには、泰明小学校の校舎が見える。子どもたちが、屋上でバスケットボールなどをして遊んでいるのを眺めつつ……。都会っ子は都会っ子なりに、都会らしい様子で元気に遊んでいた。

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  • Wab4

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    Wabi-Sabi for Artists, Designers, Poets & Philosophers (Leonard Koren)

    福岡の実家に近い香椎のイオンにある未来屋書店で、たくさんの本を購入したことは[JAPAN 11] にて記した。

    華やかな表紙の書籍が並ぶ中、地味に目立っていたこの冊子のような本。わびさびを読み解く……とは、興味深い。本の奥付けを見る。レナード・コーレン。作家、編集者、パブリッシャー。ニューヨーク生まれ、サンフランシスコ在住……とある。知らない作家だが、パラパラとめくるに面白そうだ。

    ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)、アーネスト・フェノロサ、ヴェンセスラウ・デ・モラエス、ポール・クローデル、ブルーノ・タウト、バーナード・リーチ、ドナルド・キーン、アレックス・カー……。日本の伝統文化に親しみ、日本の美に傾倒し、日本人に日本を教えてくれる外国人は、少なくない。この本からも、面白い学びがありそうだと感じて購入した。

    これらの本は、わたしのインド帰還と共に、郵便小包で到着した。しっかり梱包していたつもりが、本が箱の中で擦れあって、小さなこの書籍だけが、表紙にダメージを受けていた。申し訳なく思いつつ傷跡を撫でたあと、読み始めた。数ページ読んで、その構成、視点、筆致に引き込まれる。日本語訳もすばらしい。

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    なんなんだ、この本は……と、気になり、改めてしっかりと、奥付を読む。

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    本書では、「わびさび」を美的趣味としてではなく、体系を持つ美の哲学として、モダニズムなどの西洋の美意識と比較しながら、明晰な言語化を試みている。1994年の初版の刊行(英語版)から20 年以上読み継がれ、「Wabi-Sabi」の流行を生み、ひとつの美的概念として一般化させたのが本書である。近年では、企業哲学としての「シンプリシティー」を学ぶ原典としても愛読されている。
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    なるほど、侘び寂びブームの火付け役だったのか。さらに奥付の下部を見て、目を見張った。

    「巻末エッセイ寄稿 森岡督行(森岡書店)」とある。

    森岡さん!? 昨年の一時帰国時に2度、そして今回の銀座でもお会いした森岡さんが、こんなところでも!

    益々、好奇心を高めながら、読み進める。薄くて、シンプルな本に詰められた世界の、なんとも的確でわかりやすく、腑に落ちること!! 最初は残念に思った表紙の傷が、読後にはむしろ、愛おしい経験の刻みに思える。はるか6700kmの旅を経て、ここまで来た証でもあるのだ。

    今年の後半は、新居の和室作りと、旧居の改築を始めねばと思っていたところに、このわびさびを解く本は、たちまち趣向の変更を示唆するものでもあった。わたしの中で、ぼんやりとしていた侘び寂びの概念が、少し明らかになって、腑に落ちた。モダニズムとわびさびの比較の一覧がまた、斬新に面白い。

    読み終えて、懐かしい言葉がふと、脳裏に浮かび上がった。

    「やはり野に置け、蓮華草。」

    自然も人も、あるがままに。根源的な、精神世界。スピリチュアル。

    ……ああ、なんて面白いんだ、極東の島国である我が祖国、日本という国は! 今更ながら、発見の連続だ。

    日本文化を紹介し、伝える場でも、大いに役立つ表現や言葉がちりばめられている。わたしが無理して言葉を紡ぐよりも、彼らの表現を紹介する方が的確な場合も大いにある。……というわけで、早速、原本を注文した。

    茶道、華道、書道、工芸、文芸、建築、着物……。日本の伝統に携わる方々には特に、この本は、お勧めです! 

    買ったまま、まだ読んでいない岡倉天心(岡倉覚三)の『茶の本』も、早々に紐解きたい。そして森岡さんとは、いつかゆっくりお話をさせていただきたい。

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    最後の写真は、先日お立ち寄りした森岡書店にて。森岡さんと、画家の金田実生さん。以下は、森岡書店に関しての記録。

    🇯🇵【東京情景⑤】もはやニューヨーク情景🗽 マンハッタンに生きたアーティスト、ソール・ライターの世界に浸るひととき(2023/10/24)
    https://museindia.typepad.jp/2023/2023/10/saree.html

    [🇯🇵DAY 19−2 TOKYO] 一冊の本を慈しむ森岡書店で20年ぶりの再会! 婚約指輪とエメラルドと天然真珠のご縁。(2023/04/24)
    https://museindia.typepad.jp/2023/2023/04/jpn19-2.html

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    東京最終日に表参道へ立ち寄った目的は2つあった。ひとつは「壱の蔵」で襦袢を買うこと。もう一つは茶具の老舗「ことぶきや」で柄杓を買うことだった。

    東京時代、数えきれないほど、この店の前を通過していたはずなのに、店内に入ったこともなければ、注意を払って店を見たこともなかった。あのころのわたしは、つくづく海の外ばかりに思いを馳せていた。

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    店にいらした女性は、茶道の心得がないわたしの質問にも、感じよく応対してくださった。

    海外で暮らす中、日本の伝統文化の麗しさに開眼。日本人として日本文化を紹介する機会が多いので、日本の古き良きものを少しずつ集めている。しかし茶道の流儀は心得ていないので、動画などを見ながら最低限を学び「お茶を楽しむ」という本質の、精神的な世界を寧に伝えていこうと考えている……といったことを、お話しする。

    正直なところ、茶道の流派その他が重視されるであろう専門店に入るには抵抗があった。そんなわたしにとって、ここは好適なお店だった。お手頃な、しかし「きちんとした柄杓」を買うことができた。

    今までは「保温ポット」をテーブルに配して湯を注いでいたのだが、いかにも風情がない。ゆえに今回は、岩田屋で南部鉄器の鉄瓶を購入。茶道で使う茶釜とは形が異なる、普段使い用の鉄瓶ではあるが、十分に美しい。

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    茶道のことを、よく知らないとはいえ、その精神世界には、心をひかれる。

    極東の島国、日本。小さな国土に満ち満ちる、その豊かな自然美。

    季節ごとの情趣を、茶室という小さな空間にて育む。

    音、香り、空気の肌ざわり……。

    茶室という小宇宙で、客人が、心地よく過ごせるための、おもてなし。

    華美である必要は、多分ない。侘び寂びが滲む、しかし丁寧に作られた茶器類。

    時節を映す、生け花。

    凛と、土に在ったままの姿で茶室に佇む花。

    見目に麗しき、甘く優しい和菓子。

    一つ一つの所作に込められている、優美と、心遣いと、思いやりと、実践的な機能性。

    温かく、ほの苦く、やさしく甘い、風味豊かなお茶。

    静謐なときを分かち合う、一期一会。

    唯一無二のひとときを、瞑想するかの如く共有する……。

    Tea5

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    以下の文章は3年前の記録。

    🍵茶の湯。侘び寂び。吾唯足知……。異国で滲み入る日本のこころ。(2021/02/11 加筆修正あり)

    日曜日のイヴェントで、「日本のお茶」について紹介することになった。単に「緑茶の種類」などを語るのではなく、その背景にある歴史や精神世界にも触れるに越したことはない。

    わたしは、大学で寮生活を送っていた時「お茶菓子」目当てで、近所でお茶を学んだことがあった。しかし、中途半端に数カ月通ったきり、やめてしまった。ゆえに、お点前を披露することはできないのだが、その世界観の片鱗を、わかりやすく伝えることはできる。

    わたしにとって、英語で茶道を紹介するときのバイブルは、この黄色い冊子だ。

    1998年発行。『お茶の12ヶ月』。

    わたしが、ニューヨークでミューズ・パブリッシングを起業した直後に手がけた本。書き手は、米国で茶の湯を広め、フロリダの森上ミュージアムの茶室建設に貢献された山本温子レフコートさん。出版は、彼女のご友人からのご依頼だった。

    病に倒れた彼女の遺稿を、形にするための仕事。DTP(デスクトップ・パブリッシング)黎明期。買ったばかりのパワーマックにて、彼女の原稿を入力し、編集、デザイン、印刷を手掛けた。

    今、読み返して、その文章と表現の美しさに感嘆する。日本を離れたばかりの、33歳のわたしには、漠然としたイメージでしかなかった茶の湯の世界、侘び寂び、四季を慈しむ心、人をもてなす流儀……。

    歳月と経験を重ねていま、実感と実像を伴って、その奥深さを受け止めることができる。歳を重ねるとは、こういうことなのだな……と思いつつ、あらゆる要素が凝縮され、見事にまとめられたこの一冊に感嘆する。

    今年から、我が人生後半のテーマと掲げた「不易流行」。そして「侘び寂び」。いずれも松尾芭蕉によるものであり。

    日本人が著したのではなく、日本古来の精神世界や価値観、美を愛する外国人によって記された、IKIGAI, WABISABIは、もうここ何年も、欧米だけでなく、インド国内でも知られている。

    ちなみに「IKIGAI」は、わたしのインド人の友人がプレゼントしてくれたものだ。わたしが座右の銘としている言葉のひとつ「吾唯足知」も、わかりやすく説明されている。日本人が、改めて日本を知り直すことも大切なのだと、海外に出ると改めて、そう思う。

    Tea2

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    🇯🇵わずか1週間で準備完了! 日本がテーマのヴァレンタインズ・デー(2021/02/16)
    https://museindia.typepad.jp/2021/2021/02/valentines.html

    🇯🇵弥生3月。盛夏の南天竺で、日本の春を祝う。(2024/03/15)
    https://museindia.typepad.jp/2023/2024/03/sakura.html

    🇺🇸MORIKAMI MUSEUM AND JAPANESE GARDEN
    https://morikami.org/

  • 25

    穏やかに静かな日曜日。父の日。夫とふたり、今は亡き、父と義父に、手を合わせる。

    我が父、泰弘は2004年5月に、義父ロメイシュ・パパは2020年1月に、この世を去った。

    パパの急逝は、わたしたちにとって、非常に衝撃的な出来事だった。まだまだ元気でいてくれると思っていた。

    そして直後のCOVID-19パンデミック。死を悼みつつも、パパをきちんと弔い、遺灰をヤムナ川に流すべく旅に出られたことは、ささやかな慰めだ。

    それまで精神世界にも宗教にも、ほとんど関心を持っていなかった夫が、パパの急逝を契機に、大きく変わった。そのことについては、折に触れて記してきた。妻は極端を懸念するが、これもまたひとつの転機にて。

    昨夜、夫とふたりで庭を歩きつつ、改めて福岡から東京へ飛んだ朝のことを、夫に話した。空港への道すがら、車内で妹とふたり、「父に感謝だね……」と話していたまさにそのとき、信号待ちの前の車のナンバーが、父の誕生日である7月2日を示していた。

    妹にはしばしば起こる現象だと聞いていたが、わたしは初めて目の当たりにして、驚きつつも笑えた。父の、存在のアピールのあからさまなことに。その隣を見れば、8839。母サンキューと言っているのだろうとも思った。

    その話をしつつ、夫に、「パパもひょっとすると、存在をアピールしてくるかもしれないよ。パパの誕生日は……」と言いかけて、ハッとした。

    パパの誕生日は、3月9日。

    8839。

    すでに、アピールしてた〜! 

    「母サンキュー」じゃなくて、「パパ・サンキュー」だったの〜!?

    面白い。実に面白い。このことを父の日に、わたしに思い返させるあたりも面白い。パパは、わたしの両親のことも、そして伴侶を亡くした母のことも、本当によく気遣ってくれていた。

    わたしの日本家族を守ってくれることは、すなわち、わたしやアルヴィンドを守ってくれることにもつながる。福岡まで、様子を見にきてくれているのだろうな……と思う。

    父よ。パパよ。ありがとう。これからも、しっかりと、見守りよろしくお願いします。

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    昨年秋の一時帰国時に、インドへ持ち帰った母の着物や、リセール着物。それらを何度か着用したが、着付けには苦戦した。そもそもサイズが全体に小さい。さらには着付け以前に、襦袢や帯枕などが、母が使っていた半世紀以上前のもので、使い勝手が悪い。

    たとえば襦袢に必要な衿芯が柔らかすぎて、襟がピシッと整わずだらしなく見える。動くとすぐに形が崩れる。ゆえに両面テープで留めるなどして凌いでいた。今回の旅では、兎にも角にもきちんとした襦袢を買わねばと思っていたので、浅草の着物セールでは1枚、購入していた。

    更には先日、着物にお詳しい京子さんにお会いした際、「壱の蔵」で販売されている襦袢を勧められた。なんでも、襟の部分をジッパー(ファスナー)で取り外しできるというオリジナルの襦袢だという。

    ところで昨今では、「うそつき襦袢」なるものが普及している模様。個人的に、耳にひっかかる心地悪い名称ではあるが、着物を着る際に手順を省いたり、簡略化してそれらしく見せることを「うそつき」と言うらしい。

    うそつきでもなんでもいい。素人ゆえ、手軽にパシッと着こなせる襦袢を手に入れたい。しかも、おおむね暑い気候のインドで着るからには、涼しげな作りになっているというそれは魅力だ。

    最終日、表参道駅にほど近い場所にある「壱の蔵/青山サロン」を訪れた。代表の弓岡氏に対応していただき、その名も「らくらく半襦袢」の構造や着付け方法を丁寧に伝授していただく。これは、美しく着付けられそうだ!

    この店にはまた、上質なリセールの着物が数多く揃っている。帯にも着物にもついつい見入るが、今回はもうスーツケースの重量超過だ。しかしながら、絞り染めの帯締めがまたすばらしく、看過できず。ストール代わりに欲しいとインド友らから頼まれていたことを思い出し、数枚を購入した。微細な仕上がりの見事な帯締めには感嘆するばかり……。

    着物や羽織、帯などだけでなく、このような上質の帯締めなどがオークションサイトで叩き売られているのは知ってはいたが、実際にこれほどの量のものを一度に見るのは初めてだった。未使用のものも紛れている。大正時代ごろのヴィンテージもある。やれやれ、尽きない。

    ここではへちま製の涼しげな帯板も売られていたので購入。初日の浅草では、やはりへちま製の帯枕を購入していた。少しでも、涼しいに越したことはない。諸々、下準備はかなり整った。あとは、いかに手際よく、美しく着付けられるようになるかだ。来月もまたイヴェントに招かれている。それまでに、特訓せねば!

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    わたしの到着に合わせたかのように、福岡から発送していた荷物が3箱、昨日届いた。今回は、南部鉄器の鉄瓶や、柴田慶信商店の曲げわっぱなども梱包していた。どちらも大切な伝統工芸品。手荷物で持ち帰りたかったが、あまりにも場所を取る。いつもに増して、無事に届くことを祈っていた。

    郵便局からの知らせを受け、ドライヴァーに取りに行ってもらう。果たして、届いた段ボールは少し形が崩れていたものの、とりあえず、すべてが無傷で届いて安心した。

    そんな荷物や、荷解き途中のスーツケースが、今、リヴィングルームの随所にとっ散らかったまま。いつもなら、とっとと片付けねば気が済まないところだが、今回はもう、無理はしないのだ。ぼちぼちやるのだ……と自分に言い聞かせる。

    🍃
    昨日は空港から戻りしのち、午前3時ごろに就寝、昼ごろまで寝ていたかった。しかし「日本より3時間半遅れ」という微妙な時差による時差ボケで、6時、7時と細切れに目覚め、ついにはベッドでゴロゴロもできず、8時に起床。午後からは月に一度のミーティングがあるので、少しでもリフレッシュしておきたかったが、思うようにいかない。

    午後3時から4時間、YPOのフォーラム・ミーティングに参加。9名のメンバーが毎月集い、定められたメソッドに則ってのミーティングを行う。自分たちのライフを豊かにするための、切磋琢磨する有意義な時間。今期、わたしはモデレーターということもあり、責任も伴う。

    昨日は、旅から戻ってすぐだということもあり、場合によっては、わたしは欠席すると伝えていた。しかし、疲れていてなお、昨日のわたしは彼女たちと会い、話をする必要があった。各メンバーが、この1カ月間のアップデートを報告した後、わたしは今回の日本での出来事をプレゼンテーションさせてもらった。

    自分の中でまだ消化しきれていない、日本の高齢化社会の片鱗、介護保険サーヴィスのこと、自分の家族のこと、日本の友人らの介護を巡る体験談、そして自分たちの未来の在り方……。インドと日本の社会の違いを理解してもらわなければ、わたしの真意が伝わらない。旅から戻り、まだ脳内は混沌ながらも、いつもよりゆっくりと、言葉を選びながら丁寧に伝える。

    そして、メンバーそれぞれから、提言や経験談をシェアしてもらう。

    彼女たちの声を聞く過程において、混沌がじわじわと冷静に移行し、自分の状況を客観視することができる。このフォーラムのメンバーとなって7年。我がライフにとって、彼女たちは、かけがえのない存在だということを、改めて思う。インドという異郷の地で、「あなたはひとりじゃない」「わたしたちが、ついている」と言ってもらえることのありがたさ。

    むろん彼女たちだけではない。わたしはこれまで、どれほど、インドの人たちの助け合いの精神に触発され、学ばされ、救われてきたことだろう。特にパンデミック時代の人々の助け合いには、しばしば感嘆させられた。何があっても、一人ではない。孤独になるのが難しいほどに、一人ではない。昨日はまた改めて、それが、本当に身に染みた。

    わたしもまた、助け合える人であり続けたいと改めて思う。

    🍃

    昨夜は9時ごろ就寝。6時ごろに起きた。ようやくぐっすりと寝られた。ベッドの上で軽くストレッチをする。そして15分間の瞑想をし、心を整える。庭に出る。仏像に手を合わせる。裸足で草の上を歩く。猫らに挨拶をする。

    トゥルシ(聖なるバジル)とブラフミー(スリランカのシンハラ語でゴツコラ、日本語でツボクサ)を摘む。洗って小さくちぎって、カップに入れる。モリンガやターメリックもいれる。サフランも少しいれる。お湯を注ぐ。お湯が少し冷めてから、蜂蜜もいれる。

    それを飲んで、一日を始める。こうして綴る。

    今日はこれから、Urban Companyのエステティシャンに来てもらい、アーユルヴェーダのマッサージを受ける。ベッドもオイルも何もかも、持参してくれる優れたサーヴィス。本当に、ありがたい。この週末で、ゆっくりと、軌道修正をしよう。

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    本日、日付が変わったころ、バンガロールに着陸した。3週間ぶりのバンガロールは、出発前の暑さと渇水が嘘のように、潤い涼しい高原都市の表情で出迎えてくれた。

    ただいま。

    このごろは風雨強い日々が続いているらしく、3週間のうちにも、庭の緑が成長している。

    時間の合間を縫って、引き続き日本旅の記録を残したい。

    🇯🇵

    6月12日水曜日。東京滞在の最終日、表参道へ赴いた。久しぶりに表参道を明治神宮方面にくだりながら、28年前に「占い師の卵」から呼び止められたことを思い出す。最初の2枚の写真が、その場所だ。

    🌳

    大学卒業後、上京したわたしは、海外旅行ガイドブックを制作する編集プロダクションに就職した。その2年半後、先日記した、日比谷のカフェでアルバイトをして貯金を微妙に増やし、海外ドライヴ情報誌を作る小さな広告代理店に転職した。

    その会社も2年半で辞め、27歳の時、フリーランスのライター兼編集者として独立した。会社員時代から表参道は好きな場所だったが、フリーランスになってからは、仕事の関係でもしばしば訪れていた。住まいを用賀に選んだのも、表参道に連なる田園都市線の沿線だったからだ。

    ちなみに渡米前の一年余りは、「成田空港に近いから」という理由で、用賀から西葛西に居を移していた。その数年後、西葛西はインド人が暮らす街と化した。また、用賀の地名の語源はYogaであり……(数年前に知った。詳細割愛)。

    わたしの人生は東京時代から、知らず知らずのうちに、インド行きのレールに乗っていたことは、紛れもない事実だ。

    🌳

    忘れもしない。1996年2月のある日。打ち合わせを終えたわたしは、次の目的地に向かうべく、いつものようにこの坂道を急ぎ足で下り、明治神宮方面へと歩いていた。そのとき、スーツ姿のおじさんに呼び止められた。あのときは「おじさん」だと思ったが、今振り返るに40歳前後の男性だったと思う。

    彼は、わたしとすれちがいざま、恐縮しつつも確実に、わたしの手相を見せて欲しいと頼んできた。わたしはといえば、急いでいるし、道端でいきなり声をかけてくる「普通のおじさん」っぽい人に手相を見てもらうことに、大いに違和感を抱いた。

    通り過ぎようとしたわたしに、しかし彼は、どうしても見せてほしいと諦めず声をかけてきた。なんでも現在、占い師の修行中だという。なぜ、わたしを呼び止めたのか、と尋ねたところ、

    「珍しいガンソウをされているので」とのこと。

    ガンソウ……。顔相? 

    わたしは、このとき初めて、顔相という言葉を耳にした。急に好奇心が湧き上がり、立ち止まって話を聞くことにした。

    どういうわけで、珍しい顔相だとわかるのかと尋ねると、わたしの額から「青白い光が出ている」とのこと。ふむふむ興味深い。手相を見てもらうことにした。

    彼の占いに関しては、当時の日記に記していた。恥ずかしながら、そのページの写真を載せておく。このときは、ニューヨークの語学学校に1年間留学すべく、学生ヴィザの申請をしていて、その連絡待ちをしていた時期だった。

    当時、学生ヴィザが発給されないケースが増えていると聞いていたことから、申請書のほかに、査証科への依頼文を同封するなど、かなりの熱意を持って申請に挑んだ。無事にヴィザがおりるかどうか、一抹の不安が拭えない時期でもあった。

    加えて当時は、人間関係、恋愛関係、その他諸々、うまくいかないこと多々あり、文面から自分を奮い立たせようとしている様子がうかがえる。てか、100%以上って。どういう表現。これもまた、インドにありがちな「100%!」を予見していたのか😂

    🇺🇸

    今振り返るに、この方の占いは、概ね当たっていると思う。

    このとき、「強い縁がある」と言われた。わたしは即座に、「強い縁……というのは、男女の縁ですか? 良縁ってことですか?」と問うたが、良縁とは言ってもらえず、「強い縁です」とだけ言われた。

    果たしてわたしは、その数カ月後、マンハッタンでインド人男性と出会い、ニューヨークに行ったにも関わらず、やがて目的地がインドにシフトした。間違いなく、強い縁であった。

    ちなみに3つの大きな転機であるが、今読み直して、ハッとした。わたしは1度目が20歳の時の米国ホームステイ、2度目が30歳の時、そして3度目はインド移住時、いやそれともまだ来ていないか……と思っていたのだが、この日記には、このときが「ひとつめ」とある。

    となると、30歳の渡米、40歳の渡印が大きな転期であり、3度目はまだ来ていないのは確実だ。これ以上、他の地に移住するつもりはないが、できれば老婆になる前に、なにかしら楽しい転機が来て欲しいものだ。

    この占い師の方、今、どこにいらっしゃるのだろう。お会いしたい。

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    現在、木曜の午後6時。成田国際空港のラウンジにて、日本酒を飲みつつ、搭乗までの30分余り、記録を残そうと綴っている。咳が出ていたこともあり、途中で体調を悪化させたくなかったことから、実は一昨日まで一滴もアルコールを飲まなかった。

    日本酒を飲めることを楽しみにしていたのだが、解禁したのはようやく昨日。ビールを飲み、部屋で日本酒の小さなボトルを開け、しみじみと楽しんだ。そして今、旅の余韻を噛み締めつつ、千葉のピーナッツを噛み締めつつ、静かに日本酒を飲んでいる。少し飲んだだけで、酔いがまわる。気をつけねば。

    🇮🇳

    昨日は丸一日、自分一人で過ごしたく予定を入れていなかった。ゆえに一昨日の午後が、最後の会合。最初はランチタイムにお会いする予定だった笠井亮平さんと、予定の変更で午後のティータイムに待ち合わせ。予定を変更してよかった。食事しながらでは消化できない……というくらい、笠井さんとは毎回、脳みそフル回転で話が尽きない。

    毎回……といっても、お会いするのは今回で3回目。しかしながら、会話が高濃度につき、何回もお会いしている気さえする。

    笠井氏については、こちらのWikipediaをご覧いただきたい。
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%A0%E4%BA%95%E4%BA%AE%E5%B9%B3

    笠井さんと初めて言葉を交わしたのは、やはりパンデミック時代に流行ったClubhouseのインド関係のルームにて。ご著書である『インド独立の志士「朝子」』をすでにお読みしていたこともあり、笠井さんのお話には強い関心を抱いていた。その後、わたしは朝子さんとお会いし、インタヴューをして動画を作る……という僥倖に恵まれた。

    笠井さんと実際にお会いしたのは、2022年。2年前のちょうど今頃、わたしの一時帰国時のことだ。日経新聞ジャーナリストの岩城氏とともに、東京でお会いした。その日はまた、わたしはスバス・チャンドラ・ボースの遺骨が眠っているとされる蓮光寺を訪れる予定だったことから、サリー姿で赴いた。お二人との会話は非常に楽しく尽きず、ランチをとりつつも味覚に集中できなかった。ゆえに、今回はティータイムに変更していてよかった。

    2度目は、同じ年の終わり、バンガロールを訪れていた笠井さんを拙宅にお招きした。その夜もまた時間ぎりぎりまで、語り合い、楽しいながらも話し足りない不完全燃焼のままだった。ゆえに、笠井さんとお会いする時には、脳みそクリアに時間に余裕のあるときでなければ……とも思っていた。

    この日もまた、ご著書を2冊いただいた。短期間に多くの出版物を生み出されるタフさに敬服するばかり。インドの話に留まらず、米国はじめ海外旅の話、宗教や文化、その他諸々、話をあっちこっちに飛ばしつつ、軌道修正しつつ、知らない言葉を確認し合いつつ、生きた勉強会のようでもあり。

    会話の掛け合いが、真剣勝負。話し込んだら長くなるテーマばかり、短時間で語りつくせない話題連発につき、議事録をとったらかなりの情報量になる違いない。

    二人とも書き手ということもあり、わからないところをスルーしたまま話し続けるのではなく、尋ね合うなどして確認するので、学びも多い。おすすめの旅先、本など情報交換もしつつ刺激的な時間だった。

    笠井さんはマラソンをされていて、初めてのフルマラソン体験がモンゴルだったというお話がまたインパクト大! そこからわたしのモンゴル旅の話に流れると時間切れなので、のちほど『モンゴル旅日記』のリンクもシェアするということでモンゴル話は中断。本当はモディ首相の話もしたかったのだが、まったく話が及ばず。

    ホテルに戻った後、

    「今日の話題は「20世紀前半まで」でしたからね。2024年に追いつくのはいつのことやら、という感じです」とのメッセージをいただいて、思わず笑ってしまった。

    次はまたインドで。心置きなくお話できる予定で遊びにきてくださいと約束して別れたのだった。わたしがお聞きするだけではもったいなく、対談をさせていただき、オンラインで流すというのもいいかもしれないと思った。

    [🇯🇵DAY 20-1/ Tokyo] インド独立の志士「朝子さん」に連なる奇縁ご縁。2022/06/13
    https://museindia.typepad.jp/2022/2022/06/jpn20-1.html

    2022年の終わり。旅人が立ち寄る場所。2022/12/30
    https://museindia.typepad.jp/2022/2022/12/tabi.html
    https://museindia.typepad.jp/library/asako/

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