インド百景 2021-2025

天竺の、風に吹かれて幾星霜。ライター坂田マルハン美穂が、南インドのバンガロール(ベンガルール)から発信

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曇天、遣瀬なき月曜の朝。

だれかの呟きに、講談社の古い書籍。

見覚えがある。ここにある。

両親が新婚時代に買い集めた。

日本現代文學全集。

半世紀以上前の「現代」。

宮沢賢治を手に取る。

目を閉じて、本の小口に指を滑らせ、ハッと開く。

目を開き、飛び込んでくる文字に、ハッとする。

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(コロナは八十三萬二百……)

あの四月の實習の始めの日

液肥をはこぶいちにちいっぱい

光炎菩薩太陽マヂックの歌が鳴った

(コロナは八十三萬二百……)

ああ陽光のマヂックよ

ひとつのせきをこえるとき

ひとりがかつぎ棒をわたせば

それは太陽マヂックにより

磁石のようにもひとりの手に吸ひついた

(コロナは七十七萬五千……)

どのこどもかが笛を吹いてゐる

それはわたくしにきこえない

*******

心の奥底で、泣けてくる。

「コロナ」ということばから転じて。

清らかなことば。まばゆい日本語。

慈愛が迸ることばの連なり。

こんなにも、美しい詩らが、深海の底。

水面に揺蕩う毒の応酬に邪魔されて見えない。

すくいあげねば。

つとめて、すくいあげねば。

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