🗽結婚して約2カ月後の、2001年9月11日。
わたしはニューヨーク拠点。夫はワシントンD.C.拠点。
二人は、二都市を行き来しながら生活していた。
あの日、わたしは夫の住むアパートメントの窓から、黒煙を上げるペンタゴン(米国防総省)を見た。
テレビの画面越しに、わたしが暮らす街の、二つの「塔」が崩れ落ちるのを見た。
今でも、鮮明すぎるほどに蘇るあの日々。
未来が見えない底なしの不安。
泣き叫びたくなるほどの無力感。
あのとき、ニューヨークを離れた理由を。
それから、ワシントンD.C.を離れた理由を。
唐突に、しかし確実に、インドを目指した理由を。
改めて、まざまざと思い出す。
まざまざと!
坂本龍一氏の死の知らせは、自分の頭が思う以上に、自分の心の奥底を掻き乱す。
音楽家……としてはもちろん、社会活動家……としても。
『非戦』
拙著『街の灯』と並べる厚かましさを許せ。これらは同じ2002年に発行された。
夫はヴェンチャー・キャピタリスト。資本主義の象徴の如く生業。
敬意はあれど、米国での、我々の未来が見えなかった。
目を凝らした先の、インド。
求めて来たといえば、求めて来た。
逃げて来たといえば、逃げて来た。
切り拓いて来たといえば、切り拓いて来た。
「しなやかに、歳を重ねたい」という滑稽。
むしろ、足枷みたいな幻想。
足掻き足掻いて、彷徨い流離い、多分、死ぬまで。









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