インド百景 2021-2025

天竺の、風に吹かれて幾星霜。ライター坂田マルハン美穂が、南インドのバンガロール(ベンガルール)から発信

MUSE INDIA / HOMEPAGE

✈︎ 過去ブログ/2005〜2025

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    2020年最後の晩餐を締めくくるデザートは、夫の大好物、グラブジャムン。

    途轍もなく甘いインドのお菓子。1つ、2つ、もうひとつ……と3つを平らげて幸せそうな夫。

    例年ならば、大勢のゲストと共に焚き火を囲み、一年の終わりを過ごす広場にて。夜空を仰げば、見事な満月。

    4つめのグラブジャムン……!

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    5000年以上も前から連綿と伝わる処方で、複雑に配合され、温められたそのオイルに、全身を覆われ、浸る。

    オイルから、不要を取り除いてもらい、必要を与えられる。

    地球の恩恵を全身で受け止めてのち、午後5時の夕暮れどき。

    デカン高原の涼風は、火照った身体をやさしく冷ます。

    インド菩提樹の枯葉まばゆく、至福のひととき。

    11年前、年末をここで過ごすことに決めたのは、負の理由からだった。

    酒なし、肉なし、宴なし……と自嘲的に形容しつつ、繰り返してきた年中行事。

    今となっては、なんと意義深い過ごし方だったろう。

    毎年この時期、バンガロールから訪れる常連は、我々夫婦だけ。

    「二人が来てくれて、やっと一年を締めくくれる気分になれるわ!」

    と、女性のドクターに喜ばれ。

    客観視するに「究極の変わり者」としての、我々夫婦。

    ……それでいいのだ。

    2009年12月。思い返せば、うんざりするほどの逆境。

    ストレスまみれで途方に暮れる日々の中、ここで過ごそうと決めた自分を褒めてやりたい。

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    波乱に満ちた2020年も、まもなく幕を下ろします。

    2020. The turbulent year is about to end.

    多くのメンバーがバンガロールを去ったミューズ・クリエイション。従来通りの活動ができなくなった一方で、新しい在り方を模索できた稀有な一年でもありました。途絶していた糸が、「オンライン」によって再び結ばれ、繋がりました。

    At Muse Creation, many members have left Bangalore this year. We are no longer able to work as usual. On the other hand, it was a rare year of exploring new ways of activities. The broken old thread of bond was re-tied and connected by “online”.

    うなだれず、囚われず。背筋を伸ばして、臨機応変に。新しい試みによって、いくつかの、新しい成果が生まれました。

    No drool. Stretch your spine and be flexible. The new attempt has created some new achievements.

    この困難な歳月においてなお、損得勘定なく、ミューズ・クリエイションの活動に賛同・協力してくださった各位に、心より感謝します。迎える2021年。多くの人々が、心身ともに健やかな日々を送ることができますように。

    I would like to express my sincere gratitude to everyone who supported and cooperated with the activities of Muse Creation even in this difficult time. Wishing you a Happy New Year with the hope that you will have many blessings in the year to come.

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    闇に浮かぶ、やわらかな黄金色。

    地球のそこここに、鏤められしノスタルジア。

    半世紀前の世界、前世の記憶にひとしく。

    暴走を止めて、立ち止まるとき。

    引き返して、道を選びなおすとき。

    こんな地球にしたのは、にんげん。

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    裸一貫。

    何も持たずに生まれ、

    何も持たずに死んでいくのに、

    なんとややこしき、にんげんの生涯。

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    「肉なし、酒なし、宴なし」。ついには11年目となったマルハン家恒例、年末年始の過ごし方。

    例年ならば、世界各国からのゲストで満室の療養リゾート。今年は静かに違いない。例年以上に思うところ多く、一年を締めくくることになりそうだ。

    「年に一度、帰る場所」が、日本とニューヨークだけでなく、バンガロールにもあって、本当によかった。

    *バンガロールにいらっしゃる方。ライフスタイルを見直すのにふさわしい場所です。1日滞在プランもあるので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょう。詳細はSTUDIO MUSEの動画や概要欄でも紹介しています。

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    ●インド5000年の伝統医療アーユルヴェーダの恩恵を受けられる療養施設アーユルヴェーダグラム

    インド生活15年。多少の不具合はあれど、我々夫婦が、そこそこ元気に生活できている理由の一つに、アーユルヴェーダの知恵を取り入れたライフスタイルが挙げられる。

    下部に記述しているが、わたしは若い時から腰痛や膝痛を患っていて、インド移住前はそれが悪化していた。今、比較的身軽に動けているのは、間違いなく、アーユルヴェーダのお陰だ。

    COVID-19対策として、インドのAYUSH省が積極的にアーユルヴェーダ(ヨガや瞑想、呼吸法を含む)を推奨している。それは、決して「前時代的」でも「非科学的」でもない。そのことは、わたし自身の心身が、身を以て、実感している。

    アーユルヴェーダとは、5,000年以上前からインドに伝わる医学。サンスクリット語のアーユス(生命、長寿)とヴェーダ(科学、知恵)がその語源だ。人間を精神面、肉体面からホリスティック(総合的)に捉えつつ、健康的な状態に導く。

    バンガロールのあるカルナータカ州のお隣、ケララ州が アーユルヴェーダの発祥の地で、多くの診療所や関連施設がある。バンガロールにも、大規模な病院や滞在型の施設、診療所も数多くあり、気軽に治療を受けられる環境にある。

    10年ほど前、視察旅行でケララを訪れ、数カ所の診療施設を訪れた。当時は欧米、特にドイツ語圏からの患者を多く受け入れているところが多く、アーユルヴェーダと歯科治療がパッケージになったメディカルツーリズムのシステムがすでに構築されていた。1カ月、3カ月、半年と、長期に亘って滞在する患者も多い。西洋医学では完治できない症状を、西洋医学のドクターと、カルテを共有しながら治療する様子に、感嘆したものだ。

    わたしたちが過去10年間に亘り、毎年、年末年始の1週間をここで過ごしているのは、アーユルヴェーダがわたしたちのライフを救ってくれているからだ。わたしは中学2年のころ、バスケットボールで痛めて以来、ずっと腰痛に悩まされてきた。東京に暮らした20代、米国に暮らした30代と悪化の一途をたどり、整体、カイロプラクティック、鍼灸などさまざま試した。しかし、決め手となる治療法には辿り着けず、年に多いときでは2、3回、ぎっくり腰のような状態になり、くしゃみをすることさえままならないことがあった。

    このまま40代に突入して、いったいどうなるのだろうと懸念しつつのインド移住。直後からアーユルヴェーダのマッサージを受けたところ、わずか半年程度で、ほぼ、痛みに苛まれることがなくなった。以来、激しい運動やマラソンなどは避けているものの、日々、元気に過ごせている。

    わたしの母にしても然り。2010年夏、膝を痛め、日本のドクターからも、のちに念のため診てもらったバンガロールのドクターからも、完治させるには手術するしかないと言われ、ヒアルロン酸を打っていた。母から手術をするとの旨、電話で聞いたとき、まずはアーユルヴェーダを受けてから考えて欲しいと伝えた。バンガロール空港に降り立ったときの母は、杖を付き、歩き方も覚束なかった。しかし、約1カ月足らずの治療で完治。杖なしで歩けるようになった。

    その後、2014年に来訪した際にメンテナンスを受けた程度で、80代の現在も手術をしないまま、特段の治療も受けず、歩けている。本人も、一時は深刻な状態だったことを忘れているくらいだ。

    毎年、ここを訪れて出会う人の体験談を含め、アーユルヴェーダによって救われた人の例は、枚挙に暇がない。外科的治療、内科的治療、精神的治療……。あらゆる側面から、人間の身体を見つめ、よき方向へ導いてくれるアーユルヴェーダ。世界各国から、問題を抱えた人たちが訪れてくる。無論、相性もあるだろうが、わたしたちにとっては生命線のような存在だ。

    トリートメントを受けたあと、心地よい高原の風に吹かれながら、緑越しに澄んだ青空を眺めながら、このひとときの至福。
    人生の「優先順位」を見つめ直すのにも、格好の機会と場所だ。ケララの伝統的な建築物が移築された、風情ある施設。バンガロールにお住いの方は、利用されることをお勧めする。